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内容証明郵便作成|担保・保証
民事保全手続を行う場合には、書類を揃えて仮差押命令申立て・仮処分命令申立てを行います。 申立書には、申立ての理由として「保全すべき権利」と「保全の必要性」を記載しなければなりません。
「保全すべき権利」とは、民事訴訟における請求原因の記載と類似のものであり、保全申立てを行う債権者が、債務者に対してどのような権利を有しているのかを明らかにします。
「保全の必要性」とは、債務者が裁判中に財産を処分してしまう可能性が高い等、当該民事保全手続を行わなければならない理由であり、民事保全手続に特有の記載事項です。
債権者から保全申立てを受けた裁判所は、まず申立書の審査を行いますが、申立書の記載のみでは保全すべき権利や保全の必要性が不十分である場合などは、債権者の面接(債権者審尋)が行われる場合があります。
保全手続によって債務者に著しい損害を与える可能性があり、慎重な審理を行う必要がある場合には、債務者の審尋が行われる場合があります。
裁判所が保全すべき権利の存在と保全の必要性を認めた場合、裁判官から担保決定がなされます。 担保決定とは、民事保全の手続を利用するにあたって必要な保証金の額や支払期日を定めるものです。
保証金の相場は、明確な証拠が存在する場合でも、請求金額の2割程度といわれています。証拠が少ない場合、保証金の額が高額になることを覚悟しなければなりません。
債権者は、裁判所が定めた金額の担保を提供しなければなりません。 担保として金銭を提供する場合には、法務局に供託をし、供託書正本を裁判所に提出します。また、銀行等と支払保証委託契約を締結し、契約書を裁判所に提出する方法があります。
担保の提供の後、裁判所は保全命令(仮差押命令または仮処分命令)を発令し、この正本を債権者宛に送達します。債務者に対しては、仮差押え等の効力が生じた後に保全命令を送付するのが一般的です。
不動産に対する仮差押えの執行は、不動産に対する仮差押えの登記を行うことになります。この登記は、裁判所の書記官から法務局に対して嘱託されます。また、対象不動産が賃貸に使用されている場合、強制管理(不動産の賃料等を管理人が預る)方法によって保全執行を行うこともできます。
債権に対する仮差押えの執行は、第三債務者(仮差押えの対象となる債権についての債務者)に対して弁済を禁止する命令を発令する方法によって行います。
具体的には、債権仮差押決定正本を第三債務者に送付します。 これにより、第三債務者は債務者に対して弁済を行うことを禁止されますし、債務者が第三債務者から弁済を受けることも禁止されます。
なお、仮差押えが他の差押えや仮差押えと競合した場合には、第三債務者が供託を行う場合もあります。
動産に対する仮差押えの執行は、動産に対する差押えと同様、執行官が行います。自動車等の登録制度がある動産については、不動産と同様に仮差押えの登録が行われます。
不動産に対する権利について訴訟を起こすにしても、係争中に当該不動産が他人に譲渡されてしまえば、勝訴判決には何の意味もなくなってしまいます。そこで、不動産が他人に譲渡されてしまうことを防ぐするため、不動産の処分禁止の仮処分の申立てを行うことになりますが、不動産に対する処分禁止仮処分の執行は、対象不動産に対して処分禁止の仮処分の登記を行うことにより行います。
なお、抵当権設定登記請求権や地上権設定登記請求権を保全するための仮処分の執行を行う場合には、処分禁止の仮処分の登記と同時に保全仮登記を行うことになります。
ある物の引渡しを求めて訴訟を起こすにしても、係争中に当該対象物の占有が他人に移ってしまうと、勝訴判決には意味がなくなってしまいます。そこで、当該対象物の占有が他人に移ることを防止するために、占有移転禁止の仮処分を用いることが有効です。
占有移転禁止の仮処分が発令された場合、執行官が直接目的物を保管することもありますが、債務者に占有を継続させる場合もあります。
債務者に占有を継続させる場合でも、占有移転禁止の旨と執行官が保管していることが公示され、仮に占有が移転されても、債権者は、新たな占有者に対して目的物の引渡しを求めることが可能です。
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